6月だ!

2006年6月7日 読書
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
人間は本能のこわれた動物である―。人間存在の幻想性にするどく迫り、性から歴史まで文化の諸相を縦横に論じる、注目の岸田心理学の精髄。

内容(「MARC」データベースより)
人間は本能の壊れた動物である。フロイドの精神分析を出発点に、人間精神の深奥をえぐり、現代社会の矛盾を衝く、ユニークな理論体系を構築した岸田流「唯幻論」の集大成。歴史、性、人間、心理学、自己について著者が語る、「ものぐさ精神分析」。


 とても古い本なのに、面白いです。「このまえ、北海道に行って、うまいもんたくさん食べたよ、すごくうまかったよ。」とかそんな内容満載の、つまらない小説の100倍くらいは面白いと思う。(少なくとも、この日記の文章の100万倍くらいは楽しいだろう。)全部が本当なわけないけど、部分的にはかなり説得力を持っていて、「そうかもしれないなぁ」とか「そういう考えもあるよなぁ」と思ってしまった。

 岸田秀の文脈《すべては幻想である》に乗っかれば、この人の論考もひとつの私的幻想ってことになる。そんでもって、ページをめくるごとに彼の論旨に説得されちゃってる時、それは自分を巻き込んだ共同幻想になっていくわけで、そう考えれば、何やら参加型のアトラクションみたいで、この論考のスリルはそういうところにもあるような気がする。

 話半分で読むことをおすすめします。きっと安定的な気分になれると思う。逆に不安定な気分になるか。
 いや、それはないだろう。たぶん。

 追記 
 よくわからないまま発言すると、「すべてが幻想だ」って考えは、人間が言葉を使っているから、たどり着く結論なんじゃないかと思う。感覚からの情報が、脳で認知されて、言葉にされて、そんな過程を通っていく間に、そいつは言葉として認識されていく。

 言葉、というか概念で再構成された世界が幻想(虚構世界)なのは、インターネットとかそういう場所を見れば自明のことで、つまるところ、そういう認識は、ネット利用者には自然と染み付いているような気もする。ただ、こんな表面的でわりとデタラメな解釈に陥らないところが、この本の魅力だろうとも思う。
いや、デタラメなところあるかもしんないけど。

 本当のところはわからないけど、現実の自分を「おかちめんこ」と思って自己嫌悪する人は、実は「自分はおかちめんこだと思いたい架空の自分」を内在させているらしいよ。それによって、なんらかの恩恵を受けるらしく、つまり、この場合でいくと、「架空の自己」側から見ることによって自尊心を守るとか、そういう目的があるんだとさ。

 でも、「おかちめんこ」って響きがかわいいのに意味するところが反対で面白いと思うから、タイトルは変えないでおこう。

 

 

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